アジャイル開発、4つのスクラムセレモニー
〜意義と効果を解説〜

アジャイル開発、スクラム

技術進化やユーザーニーズの変化が目まぐるしい昨今では、素早い開発によりユーザーに価値を届けようと「アジャイル開発」が人気です。アジャイル開発にはいくつかの手法がありますが、その中でも「スクラム開発」を取り入れている企業は多いのではないでしょうか。チームワークを重視するスクラム開発では、ミーティングのことを「スクラムセレモニー」と呼びます。スクラム開発の効果を十分に発揮するためには、スクラムセレモニーの理解と活用が欠かせません。この記事では、スクラムセレモニーが持つ意味を踏まえ、4つのスクラムセレモニーの具体的な内容について解説します。

「アジャイル開発」と「スクラム開発」とは

アジャイル開発

現代の製品・サービスの価値は、「一度提供すればそれで終わり」というわけにはいきません。日々、技術は進化し、顧客のニーズは多様化しています。そのような時代に、開発チームに求められる重要なミッションは、「新製品開発と機能のアップデートを効率的かつ迅速にユーザーに提供すること」です。信頼性やニーズの高いアップデートを定期的に実行できれば、それにともない、製品やサービスに対する顧客体験も改善されます。顧客満足度が上がれば収益性も上がり、ステークホルダーと良い関係を維持できます。

そこで、効率的かつ迅速な開発のために取り入れられているのが「アジャイル開発」です。アジャイル開発はテクノロジー企業を中心に増えている開発手法で、小さい単位で実装とテストを繰り返しながら開発を進めます。これにより、プロダクトの価値の最大化を目的としているのが特徴です。従来のウォーターフォール型開発などよりも迅速に開発を進められることから、その名に「アジャイル(素早い)」という言葉が含まれています。アジャイル開発では、設計から実装までの一連の開発工程を繰り返しながら全体の開発を進めます。重要な機能から順次リリースし、ユーザーのフィードバックを取り入れつつ開発を繰り返すため、高品質で信頼性の高いユーザー体験を実現できます。

スクラム開発

アジャイル開発にはいくつかの具体的な開発手法があります。例えば、「スクラム開発」「カンバン」「XP(エクストリームプログラミング)」などが挙げられます。その中でも、導入した組織のほぼ6割で大きな成果をもたらしたのが「スクラム開発」です。スクラム開発では、プロジェクトを「スプリント」と呼ばれる小さな単位に分割し、2〜4週間程度の期間で反復開発を行ないます。スクラム開発は、アジャイル開発の中でもチームワークやコミュニケーションに重きを置いているのが特徴です。

スクラム開発の「スクラム(Scrum)」という言葉は、ラグビーに由来します。ラグビーでのスクラムは、試合中にボールを奪い合う際に両チームの選手が円形になり、肩を組んで押し合うプレーのことです。ボールを獲得するためにはチームメンバー全員の密な連携と協力が欠かせません。このチームワークの原則をソフトウェア開発に応用して作られたフレームワークがスクラム開発です。そのため、スクラム開発ではチームワークを発揮するために、現在進行中の業務やその進行具合、タスク・作業の優先度などをチーム全員で理解することが大事だとされています。

そして、そのために実施されるのが「スクラムセレモニー」と呼ばれるいくつかのミーティングです。なお、スクラム開発の手法の詳細については、PagerDuty公式ガイドである「スクラムガイド」をご覧ください。

スクラムセレモニー」とは

スクラムセレモニーとは、スクラム開発におけるプロジェクト進行の迅速化と効率化を目的としたミーティングのことです。開発プロセスの重要なタイミングで、複雑な開発プロセスやタスクを単純化するために実施されます。そのため、スクラムセレモニーはチームメンバーの効率的なコラボレーションとコミュニケーションを促す内容になっています。

製品・サービスが複雑化する中、迅速に反復開発していくためには、チームメンバー間のコミュニケーションとコラボレーションを効率の良く行なうことが非常に重要です。例えば、チームの目標を定めてメンバーが共通認識を持つことは、開発の効率化につながります。また、異なる専門分野や役割を持つメンバー同士がうまくコラボレーションできれば、素晴らしいアイデアの立案や問題解決にもつながるため、スクラムセレモニーの実施が重要になります。

スクラムセレモニーは、チームメンバーに製品・サービスやプロジェクトへの共通の理解を促し、活発なコラボレーションとチームワークを発揮するため土台といえます。例えば、毎朝開かれるデイリースクラムでは、「完了済みの作業」「現在取り組んでいる作業」「今後予定されている作業」を確認します。この短時間の簡単な報告を通して、メンバーは毎日顔を合わせてお互いが何をしているのか、どのような状況にあるのかを知り、そこからアイデアやコラボレーションにつながっていくのです。

スクラムセレモニーの4つの種類

スクラムセレモニーは開発の重要な場面で実施され、具体的には次の4種類のミーティングに分けられます。

  1. スプリント計画
  2. デイリースクラム
  3. スプリントレビュー
  4. レトロスペクティブ

ここから、4つのスクラムセレモニーについて、それぞれの「目的、参加メンバー、開催時期、所要時間」などをご紹介していきます。

1. スプリント計画

スプリント計画とは、スプリントの開始時に行なわれるミーティングで、スプリントバックログ(スプリントでチームが完了すべき作業)を確認します。また、チームとしての達成目標を設定し、リスクの共有やリソースの割り当てを行なうことでスプリント進行の効率化を目指します。

  • 参加メンバー:スクラムの担当者全員(開発者、スクラムマスター、プロダクトオーナー)
  • 開催時期:新規のスプリント開始時
  • ミーティング所要時間:1〜2時間
  • 開催頻度:新規のスプリントが開始されるごと

2. デイリースクラム

デイリースクラムは、毎朝行なわれる短時間のミーティングで、チーム全員がプロダクトバックログ(開発要件とタスクが優先順位付けされたリスト)に関する現状の把握を目的としています。短時間のうちに、完了済みの作業と進行中の作業を明確にすることで問題が発生していないか確認できます。

  • 参加メンバー:スクラムの担当者全員
  • 開催時期:通常は作業開始前
  • ミーティング所要時間:15〜20分程度
  • 開催頻度:毎日

3. スプリントのレビュー

スプリントが終了するタイミングで、そのスプリントでの成果を評価するスプリントレビューを実施します。開発チームは完成した機能やアップデート機能をチームメンバーやステークホルダーなどに説明しフィードバックをもらいます。

  • 参加メンバー:プロジェクトの他のチームメンバーやステークホルダー、スクラムの担当者全員
  • 開催時期:スプリントの完了またはマイルストーン達成時
  • ミーティング所要時間:最大4時間
  • 開催頻度:スプリントの完了ごと

4. レトロスペクティブ

スプリントレビューが開発の成果に対して行なわれるのに対し、レトロスペクティブはプロセスを対象に行なうレビューです。具体的には、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかといった視点でチームのパフォーマンスを振り返ります。そして、使用するツールやチームメンバーの協調性、コミュニケーションの状況といった開発プロセスにおける問題点を挙げ、解決策を検討します。「レトロスペクティブの効果的な実施方法」については、こちらの記事「DevOps強化のための『セイルボート・レトロスペクティブ』とは?」も参考にしてください。

  • 参加メンバー:スクラムの担当者全員
  • 開催時期:スプリントの完了またはマイルストーン達成時
  • ミーティング所要時間:スプリントの期間1週間に対し最大45分(例:2週間のスプリントの場合は最大90分)
  • 開催頻度:スプリントの完了ごと

スクラムセレモニーを活用し、チームの力を最大化

スクラム開発における4つのスクラムセレモニーの内容は、スクラム開発に限らず、どのような開発においても重要な意味を持つミーティングです。しかし、忙しい仕事の合間をぬって多種多様なミーティングが開催されるような状況では、そのミーティングの目的や意味が薄れてしまいます。

本記事でご紹介した4つのスクラムセレモニーも、目的と意味を十分に理解せずただのミーティングになってしまうとエンジニアを疲弊させる「偽アジャイル」になってしまうかもしれません(参考記事:企業が陥る「偽アジャイル」〜エンジニア疲弊を生む3つの問題と解決策〜)。チームメンバー全員が各スクラムセレモニーの意味を理解し、意識しながらセレモニーに取り組むことが重要です。

しかし一方で、各スクラムセレモニーの方法論に則って進めたとしても、コラボレーションの実践は簡単ではありません。PagerDutyでは、インシデント対応における「MTTA/MTTR・対応履歴・担当者の負荷状況」分析といったレトロスペクティブに便利な機能をはじめ、コラボレーションの推進やアジャイル開発の実践に役立つさまざまな機能を提供しています。こちらの導入事例ページから、ぜひPagerDutyの導入効果や取り組みをご確認ください。また、PagerDutyに興味を持たれた方は、14日間の無料トライアルで、その効果を実感してください。

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