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富士フイルムソフトウエア様事例

PagerDutyによる待機体制のデジタル化でインシデント対応時間を半減 | 富士フイルムソフトウエアが実現した障害対応における年間80時間の工数削減とリモートワーク推進
富士フイルムソフトウエア株式会社
従業員数
539名(2025年3月末時点)
事業内容
富士フイルムグループの製品・サービスにおけるソフトウェア開発、および、ITインフラサービス
所在地
神奈川県横浜市港北区新横浜2-10-23
取引期間
2021年4月〜
  • 501〜1000名
  • エンジニア負荷の軽減
  • 組織・体制変革
  • アラートの集約と精査
  • 24/365サービスの実現
  • IT・通信
  • 製造業
  • MTTA・MTTR
  • コスト削減
  • アラートノイズ
  • 自動化
PagerDuty導入前の課題
  • 待機用電話の物理的受け渡しによるリモートワーク制限
  • 複数メンバーへの重複通知による非効率な運用
  • 複数監視ツールからのアラート乱立による対応優先度の判断困難
  • 休日・深夜帯のインシデント対応による待機体制の負担
PagerDuty導入効果
  • インシデント対応時間が半減
  • 年間障害対応時間が約200時間から120時間へ(80時間削減)
  • 待機用電話の受け渡し作業が完全に不要に
  • リモートワーク環境での柔軟な待機体制を実現

目次

    富士フイルムグループの製品・サービスにおけるソフトウェア開発、および、ITインフラサービスを手がける富士フイルムソフトウエア株式会社。同社では、富士フイルムの多岐にわたる事業領域のWebシステム運用において、24時間365日のインシデント対応体制を維持する必要がありました。しかし、従来の運用方法では様々な課題が顕在化し、エンジニアの負担軽減と運用効率化が急務となっていました。

    物理的制約とアラート管理の複雑化が生む運用課題

    富士フイルムソフトウエアでは、富士フイルムの各事業領域のWebシステム運用において、休日や深夜帯にもインシデント対応が頻発していました。従来の待機体制では、待機用電話を物理的に受け渡す必要があり、これがリモートワークの取得に大きな制限をもたらしていました。

    「柔軟に待機担当を変更したいのですが、待機用電話を物理的に受け渡す必要があり、リモートワークの取得に制限が出ていました」と同社の担当者は当時の状況を振り返ります。

    さらに、待機用電話で受信するアラートメールの見逃し防止のため、対応漏れが発生しないよう複数の担当メンバーへも通知していました。この運用により、実際には対応不要なメンバーにも余計な対応が生じ、運用効率を大きく損なっていました。

    加えて、複数の監視ツールからの多数のアラートメールが発生することで、対応が必要なアラートの見極めが困難になっていました。この状況は、インシデント対応の遅延や担当者の負担増加につながり、システム運用全体の品質に影響を与えていました。

    PagerDutyによる運用体制の抜本的改革

    デジタル化による待機体制の柔軟性向上

    PagerDutyの導入により、同社の運用体制は劇的に変化しました。最も大きな変化は、PagerDutyのスケジューリング機能により個人の社用携帯に直接転送することで、待機用電話の受け渡しが完全に不要となったことです。

    この変化により、リモートワーク環境下でも柔軟な待機体制の運用が可能になり、エンジニアのワークライフバランス向上に大きく貢献しました。特に、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが推進される中、この改善は同社にとって非常に重要な意味を持ちました。

    インシデント対応の大幅な効率化

    担当者への繰り返しの電話通知機能の活用により、アラートの見逃し防止が実現しました。担当するシステムに限定してアラートを受信することで、インシデント対応時間が半減という大きな成果を上げました。

    さらに具体的な数値として、1時間以内の障害対応時間は、最適化前の約200時間/年から最適化後の約120時間/年へと約80時間の削減を実現しました。これは年間で約2週間分の工数削減に相当し、エンジニアがより価値の高い業務に集中できる環境を創出しました。

    運用プロセスの横断的最適化

    部門内での横断的な運用プロセスの見直しにより、インシデント対応業務のトイル(手間)が大幅に軽減されました。PagerDutyの導入を機に、同社では運用プロセス全体を見直し、より効率的で持続可能な運用体制を構築しました。

    この取り組みにより、単なるツールの導入にとどまらず、組織全体の運用文化の変革を実現しています。エンジニアは定型的な作業から解放され、より創造的で戦略的な業務に時間を割けるようになりました。

    富士フイルムグループ全体への展開を見据えた今後の展望

    上位機能活用による更なる最適化

    今後、PagerDutyの上位機能の活用を進めることにより、より最適化された運用体制の確立が期待されています。各運用システムでの横断的な利用が推進され、富士フイルムグループ全体での運用効率向上を目指しています。

    同社では、現在の成功事例をベースに、グループ内の他の事業領域への展開も検討しています。統一されたインシデント管理プラットフォームの構築により、グループ全体でのナレッジ共有と運用品質の向上が期待されます。

    マルチクラウド環境での統合管理

    MS AzureやAWSなど、複数のシステム間でのアラート管理が強化され、障害発生時の影響把握がより迅速かつ容易になる見込みです。現代の企業ITインフラは複雑化の一途を辿っており、マルチクラウド環境での統合的なインシデント管理は競争優位性の源泉となります。

    同社では、クラウドネイティブなアプローチを採用し、各クラウドプロバイダーの特性を活かしながら、PagerDutyを中心とした統合監視体制の構築を進めています。

    予防的運用への進化

    システムの即時復旧を促進する仕組みの強化により、インシデント発生後の迅速な対応と、待機担当者の更なる負担軽減が図られる予定です。同社では、単なる事後対応から予防的な運用への転換を目指しています。

    PagerDutyのインシデント分析機能を活用し、過去のインシデントパターンを分析することで、将来的な障害の予測と予防策の実装を検討しています。これにより、より安定したサービス提供と、エンジニアの負担軽減の両立を実現する計画です。

    まとめ:デジタル変革を支える運用基盤の構築

    富士フイルムソフトウエア株式会社のPagerDuty導入事例は、従来の物理的制約に縛られた運用体制から、デジタル化された効率的な運用体制への転換を実現した模範的な事例です。

    特に注目すべきは、単なるツールの導入にとどまらず、運用プロセス全体の見直しと最適化を通じて、インシデント対応時間の半減と年間80時間の工数削減という具体的な成果を上げている点です。

    同社の取り組みは、富士フイルムグループという大企業におけるIT運用の在り方を示すとともに、リモートワーク時代における柔軟な運用体制の重要性を実証しています。今後のさらなる機能活用により、グループ全体での運用品質向上と、エンジニアのより創造的な業務への集中が期待されます。

    デジタル変革が加速する現代において、同社の事例は多くの企業にとって、運用効率化とエンジニアの働き方改革を両立させる具体的な道筋を示しています。

    豊嶌 秀明

    富士フイルムソフトウエア
    第二開発本部
    ネットワークソリューショングループ