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PagerDutyの年次カンファレンス「PagerDuty on Tour Tokyo 2025」が、4月10日(木)に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されました。
本イベントはニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、シドニー、東京の5都市を巡るグローバルツアーの一環で、国内では今年で連続開催となります。
昨年に引き続き、ビジネスセッションとテクニカルセッションの2部構成で開催され、今年は会場規模を拡大。総来場者数もさらに増加し、インシデント対応や運用改革に対する関心の高さがより一層感じられる一日となりました。
また展示エリアにはパートナー企業およびPagerDutyのブースが並び、各社のソリューションをご紹介いただきました。展示エリアをすべて回ってスタンプを集めるとノベルティがもらえるスタンプラリーも実施されました。ちなみに、PagerDutyのマスコット「ペイジー」も会場を回っていて、来場者の方々と記念撮影を行いました。
さらに会場の一室では、3名でチームを組んでインシデント対応の成熟度を競う「PagerDuty Challenge Cup」も開催されました。インシデントの検知と直接の対応の早さだけでなく、上司とのコミュニケーションや、ポストモーテムのレポートの品質も採点項目となるなど、各チームが日頃培ったインシデント対応のスキルを競いました。
PagerDuty on Tour TOKYO 2025の開催レポート第一弾では、ビジネスセッションの前半として、基調講演と、お客様事例のセッションをレポートいたします。
目次
イベントのオープニングでは、PagerDuty株式会社 代表取締役社長の山根伸行が開会挨拶として登壇しました。
山根はまず、今回のテーマである「AIと自動化による新時代のシステム運用革命」について、PagerDutyでは昨年から生成AIを活用したソリューションに力を入れており、今年に入ってAIエージェントを使ったサービスを発表していることを紹介しました。
さらに、PagerDutyの調査結果として、日本企業の52%がAIエージェントによる業務効率化に期待していることを紹介しました。ただし、AIエージェント導入率が世界平均で51%なのに、日本平均ではまだ32%と、導入に慎重でもあります。
その一つの理由として山根は導入時における計画などの難しさを挙げます。それに対してPagerDutyでは、PagerDutyソリューションそのものにAIによるインシデント対応技術が組み込まれていると強調しました。
たとえば2024年に発表したAI機能「PagerDuty Advance」では、マネージャーがインシデント対応の最新の状況を知りたいときに、現場の人に質問して作業を止めてしまうことなしに、AIに質問できます。インシデント対応に自然にAIが組み込まれているわけです。
「私たちはすでに生成AIという最新技術を使いながら、現場課題の解決に有効なソリューションを提供し続けています」と山根はPagerDutyのAIソリューションについて語りました。
1つめの基調講演では、富士通株式会社の高橋美波氏(執行役員副社長 COO (Fujitsu Uvance)(兼)グローバルソリューション)と、PagerDuty CEOのジェニファー・テハダによる特別対談が、実現しました。
まずテハダが、これまでのキャリアからAIがもたらす影響をどう思うかと質問しました。高橋氏は、ソニーがかつて国際競争力を失ったことを挙げて、企業には自己破壊により革新を続けることも必要だと回答し、そして今の時代ではAIがとても重要だと答えました。
これを受けたテハダの質問は、リーダーが変化を導くための教訓について。高橋氏は、かつてソニーがいち早く音楽ストリーミングサービスを立ち上げたものの、価格づけなど従来の音楽ビジネスを壊さないようにしたものだったため、後発のAppleが市場を持っていってしまった、という教訓を語りました。そして高橋氏とテハダは、AIを最前線のテクノロジーとして積極的に試し活用する必要性を話し合いました。
UvanceでのAIの取り組みについては、高橋氏は、顧客がすぐ使えるAIソリューションをクラウド型で提供することと、社内でのAIのユースケースを構築して大企業がAIを構築できるようにすることを挙げました。
このUvanceでPagerDutyを導入した理由については、証券取引所など障害が許されないミッションクリティカルな顧客を抱えていて、そのために多数の監視システムを設けているものの、インシデント対応はまだ人手による部分が多かったと答えました。PagerDutyの導入によって、対応スピードも精度も向上することから、共通プラットフォームで採用することに決めたと答えました。
そのほか、共通の趣味であるゴルフの話などもまじえ、対談は和やかに行われました。
2つめの基調講演では、「AIと自動化の時代におけるオペレーショナル・エクセレンス」の題で、PagerDutyのジェフ・ハウスマン(Chief Product Development Officer)とノラ・ジョーンズ(Senior Director, Product Management)が最新のAI機能を紹介しました。
ハウスマンは、人手に頼った運用では運用チームが疲労してビジネスリスクになるため、運用の自動化とAIによるモダナイゼーションがIT部門だけでなくビジネス上の必須事項になっていると述べました。
その上で、PagerDutyが実施した調査結果として、運用の自動化を推進していると答えた企業が85%あり、今後1〜2年以内にAIエージェントを導入予定と答えた企業が88%ありました。
こうした中でPagerDutyは「Champion the Customer(お客様のために)」を掲げ、お客様の運用をサポートすることを大切にしています。その機能は、通知管理に始まり、自動化の機能を拡大してきて、最近ではAIに力を入れています。2024年には、運用を自動化するための生成AIソリューション「PagerDuty Advance」をリリースしています。
そして、今年2月に米国で発表されたAIエージェント機能を日本でも正式にアナウンスしました。
初期リリースされたのは、洞察を提供する「Insightエージェント」、運用担当者のシフトを組む「Shiftエージェント」、障害の診断やトリアージ、解決策の実行などを行う「SREエージェント」の3つです。
後半ではジョーンズが、AIエージェントによるインシデント対応の自動化のストーリーを、デモをまじえて説明しました。解説するのは、インシデントの「未知で新しい」「部分的に理解している」「十分理解している」の3段階です。
ストーリーは、架空のアパレル小売り会社で、ブラックフライデーセール、初売りセール、バレンタインデーセールの3回、類似のインシデントが発生するというものです。
ブラックフライデーのときはまだあまり自動化されていない「未知で新しい」段階で、AIによる診断の助けを借りるぐらいでした。次の初売りセールは「部分的に理解している」の段階で、ブラックフライデーの経験からAIが対策の候補を提案し、前回より早く解決できました。そしてバレンタインデーセールは「十分理解している」の段階で、AIが自動的に解決してくれました。
インシデント対応を乗り越えることによって、人だけでなくAIも経験を積んでいき、しだいに自動化され効率化されていく様子が興味深いストーリーでした。
ビジネスセッションでは、PagerDutyのお客様による事例セッションも行われました。
金融業界からは、「<みずほ>運用高度化の取組み〜 PagerDutyの活用〜」の題で、みずほ信託銀行株式会社の山本健文氏(執行役員 CIO)にご登壇いただきました。
山本氏は、みずほの基幹システムについて、一元化や、レガシーからの脱却、保守性の向上を目指して新規構築するプロジェクト「MINORI」について説明しました。またグループにおけるクラウド利用についても紹介し、MINORIも一部パブリッククラウドにリフトしていると語りました。
ハイブリッドクラウドを採用するとともに、保守運用業務の効率化と変革が必要になります。そこでPagerDutyを採用し、これまでインシデントの通知をオペレーターが切り分けてSEに連絡していたのを自動化し、状況も確認できるようになりました。
これらについては、さらにAIを活用して、予兆検知やエージェントによる対応、根本原因への対応などを考えているとのことで、「PagerDutyには期待している」と山本氏は語りました。
もう一つのお客様事例として、パナソニックコネクト株式会社の榊原彰氏(執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント CTO)にご登壇いただき、「パナソニックコネクトのトランスフォーメーションとSRE、そしてPagerDutyに期待すること」について話していただきました。
パナソニックコネクトは、パナソニックホールディングス傘下の事業会社の一つで、ノートPCや業務用映像機器などのハードウェアベース事業と、買収したサプライチェーン管理のBlue Yonderなどのソフトウェアベース事業を営んでいます。
こうした昔ながらの事業と新しい事業が混在する中で、クラウドやSRE、内製開発を取り入れた体制に変革していると榊原氏は紹介しました。そして、自動化やオブザーバビリティも強化しているそうです。
そうした中でパナソニックコネクトでは、現在PagerDutyを試験運用中です。PagerDutyに期待していることとしては、インシデントコールが頻繁に来て夜も眠れないようなことがない「社員の心理的安全性」、PagerDutyによってさまざまな運用ツールを組み合わせる「運用の最適化」、既存の監視システムを仮想的に統合する「監視システム統合への活用」を榊原氏は語りました。
次回の第二弾となるレポートでは、ビジネスセッションの後半をご紹介します。お楽しみに!
なお、ご紹介した講演のうち、一部のセッションについては、現在オンデマンドでの視聴が可能です。ご興味のある方は、ぜひこちらのリンクよりご覧ください。
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