2025年04月24日(木)12:00〜開催
日本語で詳説
「人間とAIの協働による運用革命」
〜AIと自動化で実現する次世代運用〜
「PagerDuty on Tour TOKYO 2025」で大好評を博したセッション「あなたの運用は未来に対応できていますか?AIと自動化で実現する次世代運用」および 「セルフサービスで実現する自動化のオーケストレーション」を振り返ります。
PagerDutyが行った最近の調査によると、企業の62%が生成AIと同様に、AIエージェントへの投資で100%以上の投資収益率(ROI)を期待しているという結果が出ています。
生成AIは、企業の業務遂行やオペレーションの効率化を大きく変革してきました。今、次世代の人工知能が到来しており、その導入は思った以上に急速に進んでいます。
米国、英国、オーストラリア、日本の各市場で、1,000人のITおよびビジネス部門の幹部を対象に行われた調査によると、51%の企業がすでにAIエージェントを導入しており、さらに35%の企業が今後2年以内に導入する計画です。つまり、2027年までには全企業の86%がAIエージェントを業務で活用している状態になります。国別に見ると、英国企業の66%、オーストラリア企業の60%が先行しており、米国は48%、日本は32%と、地域によって導入状況に差があります。
目次
企業は生成AI(ジェネレーティブAI)からAIエージェントへとシフトしています。生成AIを早期に導入していた企業ほど、AIエージェントも積極的に採用しており、生成AIを実装している企業の71%がすでにAIエージェントを展開しているのに対し、生成AIの導入が不十分な企業はわずか19%に留まっています。
企業の投資期待は非常に高く、AIエージェントへの投資がもたらす効果に大きな自信が寄せられています。調査対象企業の62%が、この技術から100%以上のROIを得られると見込んでおり、平均するとROIは驚異の171%に達するとのことです。米国の企業は平均してほぼ2倍(192%)のROIを予測しています。生成AIで62%の企業が100%以上(平均152%)のリターンを経験したことから、この期待の高さは理解できます。
また、過去の生成AI導入での学びを活かして、AIエージェントの採用がよりスムーズになると考える企業が94%にのぼります。全体として、回答者の55%が「移行はより速くなる」という強い意見を示し、特にオーストラリアの企業は61%が同様に強い期待感を持っています。
AIエージェントの波は、生成AIと同じ規模の変革をもたらすのでしょうか?この点については意見が分かれており、44%の回答者はAIエージェントの方が大きなインパクトをもたらすと予想する一方、40%は生成AIの方がより大きな影響力を持つと考えています。
特にIT部門のリーダーは51%がAIエージェントの方が大きな影響を与えると予測するのに対し、ビジネス部門のリーダーは37%に留まり、約16%は両者の影響は同等になると見ています。
企業は、これまでの導入経験から急ぎすぎることや計画不足という過ちを繰り返さないように注意しています。過去の生成AI導入での教訓として以下の点が挙げられます。
経営層よりもディレクター層(43%)が、十分なトレーニング不足を最大の失敗と考えており、また、ROIの期待値を明確に定義しなかったこと(36%)も再発を避けたいとしています。さらに、40%のリーダーは支出過多を、35%は逆に支出不足を懸念しており、AI投資に対する高い期待があるにもかかわらず、適正な支出レベルについては不確実性があることを示しています。
AI需要の高まりに伴い、企業の予算も拡大しています。調査対象企業の75%がAIに対して年間100万ドル以上を投じており、従業員数が1万人以上の企業ほど、既に百万円以上の投資を行っている割合が高く(82% vs 71%)、またAIエージェントに対してさらに100万ドル以上の追加予算を計上する企業が多い(72% vs 60%)という結果が出ています。
多くの企業は生成AIの導入状況に十分な自信を持っています。全体の63%が既に生成AIを業務に組み込み、さらに24%は既に生成AIを展開しているものの、業務への完全な導入には至っていないと回答しています。英国企業(73%)とオーストラリア企業(69%)は、米国の64%、日本企業の44%と比較しても、生成AIの導入率が高いことが分かります。
AIエージェントは、顧客サービスやサイバーセキュリティの向上だけでなく、日常業務の効率化や従業員の負担軽減にも大いに期待されています。調査によれば、52%の企業がAIエージェントによって業務の26~50%を自動化または迅速化できると見込んでおり、さらに32%の企業は25%以下の自動化を期待しています。全体の平均としては、約36%の業務がAIエージェントによって自動化または迅速化される見込みです。
また、企業は生成AIの導入で十分な社員研修が行われなかったことを反省し、AIエージェント導入にあたり全社的なセミナーや研修プログラム(61%)の実施、さらには外部研修コースの提供(56%)、公式のオフィスアワーや内部メンター制度(各52%)の整備など、しっかりとした教育プログラムを計画しています。
とはいえ、AIエージェントの導入にはリスクも伴います。調査対象の企業は、セキュリティ脆弱性(45%)とAIを標的としたサイバー攻撃(43%)を最大のリスクと捉えており、その他にも、規制やプライバシー法の改正(42%)、誤ったデータインプットによるアウトプット品質の低下(40%)、AIハルシネーション(37%)などに懸念を示しています。
生成AIがそうであったように、AIエージェントも各部門に変革をもたらし、多くの部門にメリットを提供することが期待されています。
AIエージェントの恩恵を最も受けると予想されるのはIT部門(69%)であり、次いでカスタマーサービス(41%)、財務(39%)、営業(37%)、マーケティング(36%)となります。さらに、人事部門(32%)および法務部門(30%)もAIエージェントによるプラスの変化が見込まれています。イギリスにおいては、IT部門が恩恵を受けるとの期待が平均よりも高く(77%)なっています。
AIエージェント導入の影響を職務や責任範囲の点で最も大きく受けるのはどの部門かというと、やはりIT部門がトップ(64%)で、カスタマーケア(41%)、マーケティング(39%)、財務(38%)でした。
PagerDutyAIエージェント調査は、米国、英国、オーストラリア、日本の4市場において、年間売上高50億ドル以上の企業のディレクター以上の役職にある1,000名のITおよびビジネス部門の幹部を対象に、Wakefield Researchによって実施されました。各国につき250名の回答者を設定し、その内訳はIT部門とビジネス部門が半々となるようにしています。
調査は2025年2月27日から3月6日まで、電子メールによる招待とオンライン調査の方法で行われました。ここで「AIエージェント」とは、「事前に定められた目標を達成するために、データの収集、意思決定、タスクの実行を自律的に行うエージェント」を意味しており、従来のAIチャットボットとは異なり、文脈に応じた会話、継続的な学習、個別化された対応が可能な技術として定義されています。
なお、すべての調査結果は、サンプル数や回答のパーセンテージに基づき、統計的な誤差が伴う場合があります。今回の調査においては、全体サンプルでは95%の信頼区間内で±3.1ポイント、各市場ごとでは±6.2ポイントの変動が想定されます。
この調査結果から、企業はAIエージェントを活用することで大きな変革を起こし、業務効率の向上と競争力の強化を図ろうとしていることが明らかになりました。今後、さらに多くの企業がこの先進技術を取り入れ、よりスマートなビジネスの実現に向けた取り組みを加速させることでしょう。
「PagerDuty on Tour TOKYO 2025」で大好評を博したセッション「あなたの運用は未来に対応できていますか?AIと自動化で実現する次世代運用」および 「セルフサービスで実現する自動化のオーケストレーション」を振り返ります。
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