ANAシステムズ様事例


- 従業員数
- 966名(2025年4月1日現在)
- 事業内容
- 情報処理システム・通信システム利 用に関する設計及び開発
- 所在地
- 東京都大田区羽田空港1-1-4 羽田イノベーションシティ
- 取引期間
- 2024年1月〜
- 501〜1000名
- エンジニア負荷の軽減
- インシデントへの迅速な対応
- アラートの集約と精査
- 交通
- AI
- コスト削減
- アラートノイズ
目次
ANAシステムズは、エアライン分野に精通した「ITのスペシャリスト集団」として、エアラインビジネスを中心としたシステム企画・開発、空港施設・インフラ展開から稼働後のシステム運用、ANAグループ各社のDX推進支援、地域創生への取り組みなど、幅広く品質の高いトータルサービスを提供しています。同社は、クラウドシフトに伴うシステム運用の複雑化を背景に、センターオペレーション改革プロジェクトを始動。ミッションクリティカルなシステムの24時間365日の監視において、人手に依存したオペレーションからの脱却を図るべくPagerDutyを導入し、業務プロセスを再設計しながらシステム運用の自動化を進めています。
クラウドシフトの進展に伴いシステム運用が複雑化し人海戦術に限界
株式会社ANAコミュニケーションズと全日空システム企画株式会社の合併により2013年4月に誕生したANAシステムズ株式会社は、「わたしたちは、人とデジタルの力で、幸せで豊かな未来をつくります」というミッションのもと、ANAグループのサービスを支えるためのさまざまなITソリューションを提供。航空を中心としたさまざまな事業分野にIT技術やデジタルを活用することで、お客様の安心安全のみならず、サービスの品質向上に取り組んでいます。具体的には、ANAを利用されるお客様向けの予約システムや発券システム、チェックインシステムのほか、ANAグループのスタッフが運航管理や貨物管理、整備管理を行うシステムなど、エアラインビジネスにかかわるシステムを中心に開発・保守業務を提供。重要な社会インフラである航空運送事業の信頼性と安全性を、ITのプロフェッショナル集団として日々支えています。
当然ながら、ひとたびシステム障害が発生すれば、その影響は計り知れません。24時間365日止まることを許されないミッションクリティカルなシステムの運用においては、迅速かつ的確なインシデント対応が求められます。しかし、従来のプライベートクラウドを中心とした環境からクラウドシフトが進みつつあった同社では、パブリッククラウドやクラウドベースの業務パッケージの利用が増えるにつれ、次第にシステム運用が複雑化。複数の監視ツールごとに用意した専用の監視コンソールで、24時間365日モニタリングを行うようになっていました。
こうした状況について、ANAシステムズの西田氏は、「当社では20年以上にわたり、オペレーターに依存した運用を続けてきました。プライベートクラウドとパブリッククラウドそれぞれに膨大な数のシステムが存在し、オペレーターの負荷がますます増大する一方でした。複数の監視コンソールに24時間365日人が張り付いてモニタリングし、アラートが上がってきたら電話するという繰り返しで、まさに人海戦術です。こうした業務からオペレーターを解放したいという思いもありましたし、監視業務が属人化していたことに加え、クラウド環境の監視における新しい技術への対応にも難しさを感じるようになっていました」と説明します。

監視業務の標準化と効率化に向けてPoCを通じてPagerDutyを評価
オペレーターに依存した運用からの脱却を図るため、2023年度にセンターオペレーション改革に踏み出した同社は、インシデント管理プラットフォームであるPagerDutyに着目。複数の監視ツールに分散していたシステム運用環境をPagerDutyと連携し集約することで、オペレーターの負荷を軽減する狙いです。そこで西田氏は、ANAシステムズのITパートナーとしてインフラ領域における運用実務を担っているDXCテクノロジー・ジャパン(以下、DXC)の協力体制のもとPoCを実施。「両社が発注と受注の関係ではなく、PagerDutyを共通言語としてコミュニケーションすることで、方向性や目標を一つにして進めることができました」と西田氏が語るように、ANAシステムズとDXCとが緊密に連携しながら、次世代の監視基盤の実現に向けて本格的に動き出したのです。
既存の監視システム運用と並行してPoCを実施し、品質を確保できることを確認した両社は、監視業務の標準化と効率化が期待できるだけでなく、豊富なインテグレーションにより周辺システムとの連携を柔軟かつスムーズに進められることなどを決め手に、PagerDutyの導入を決定しました。導入にあたっては、大量に存在している切り分けルールのドキュメントをPagerDutyに取り込み、オペレーターが手動で行っていた一次切り分けやディスパッチのオペレーションを自動化。PagerDutyにてオペレーター対応および、エスカレーション対応の切り分けを行い、各担当へ自動で電話通知を行うことで、監視コンソールに張り付いたモニタリングから解放しました。
業務プロセスの自動化を推進しオンコールに関わる業務負荷を20%削減
PagerDutyの導入は、当初の狙いどおり、オペレーターの負荷軽減に大きな効果を発揮しています。その1つが、PagerDutyの強みでもある集約率です。同類のインシデントが同時多発的に発生した際には、すべての通知が大量に担当者に届くことのないよう、PagerDutyが単一のインシデントに集約。問題の切り分けと電話通知を自動化することで、パトランプが光るたびにオペレーターが複数の監視コンソールを確認する手間を軽減しました。

監視対象のシステムは150種類、ノード数でカウントすると1,000単位に及ぶことから、「以前は、インシデントが発生するたびに、断続的に大量の通知が届くことも少なくありませんでした。オペレーターのリソースが足りず、お手上げ状態になると、システム担当者が自ら監視せざるを得ないこともありました。このようにオペレーターが監視業務にリソースを割けないような状況は、PagerDutyのおかげでかなり改善されています。これが最も手応えを感じていることかもしれません」とDXCの株木氏。
DXCの小出氏も、「PagerDutyが検知から初動の切り分け、通知までを担うことで、24時間365日、常時モニタリングしていた人員が不要になりました。インシデントの発生数そのものは変わっていませんが、無駄な通知が減り、手動での切り分け作業の負荷が大きく軽減した効果は非常に大きいですね。今後活用を進めていけば、さらなる削減効果が期待できそうです」と続けます。オンコール対応に関わる人員は現時点で20%ほど削減、オペレーターの負荷は30%ほど軽減できており、他の業務に注力できる時間が増えたことは、組織の成長にとっても重要な成果だと言えます。

また、ANAシステムズでは、PagerDutyの導入を機に業務プロセスを見直し、監視業務のオフショア化も実現しています。懸念されるコール時の言語の壁についても、PagerDutyを使ったオンコールの自動化により難なくクリアできました。こうした一連の成果から、ANAシステムズにとって、PagerDutyの導入がいかに大規模なオペレーション改革プロジェクトであったかが伺えます。
最新機能を積極的に取り込みつつPagerDutyの利用価値を最大化
今後は、Runbook Automation機能を利用し、正常性確認や復旧対応の自動化による負荷軽減を図るほか、ダッシュボードを通じたレポートの自動作成、インシデント発生傾向の分析結果を基にしたプロアクティブな活動の実施、AIの活用による動的なインシデント対応の実現などにもチャレンジしていく計画です。

「AI活用については、国内でもチャレンジされている企業がまだまだ少ないようですが、大きな可能性を感じています。航空運送事業という重要な社会インフラを支える監視基盤とはいえ、新しいことにも積極的にチャレンジしていかないと時代に乗り遅れます。PagerDuty社から最新情報をご提供いただきながら、さらなる効率化に向けてAIをどこにどう使うべきか、改善の余地を探っていきたいと考えています。また、PagerDutyはインテグレーションの豊富さも強みですから、さらなるクラウドシフトを進めていくうえでの1つの武器として、周辺システムとの連携を強化し、より良い改善を目指します。」(西田氏)
たとえば、一部のシステムでは、電話だけでなくチャットツールと連携した通知の利用を開始しており、ChatOpsの第一歩を踏み出しています。この例のように、引き続き連携した場合のインシデント対応業務をイメージしつつ、PagerDutyの利用価値を最大化するための効果的な連携のあり方を探っていく考えです。
ANAシステムズとDXCとで協創する次世代監視基盤は、進化するPagerDutyと共にさらなる高みへと、終わりなきチャレンジが続きます。
「PagerDutyが得意とする集約機能により一元的に切り分けを行い、通知を自動化することで、大量のアラート通知からオペレーターを解放しました。今後も PagerDutyの機能をフル活用しながら、さらなる成果の創出に向けてチャレンジを続けます」

西田 哲也 氏
ANAシステムズ株式会社
品質技術部 プロセス統括チーム
テクニカルマネージャ

小出 氏
DXCテクノロジー・ジャパン
クライアントマネジメント統括本部
アカウントデリバリマネージャ

株木 氏
DXCテクノロジー・ジャパン
グローバルデリバリ統括本部