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700以上ものツールと連携。システム障害を自動的に検出・診断するだけでなく、適切な障害対応メンバーをアサインし、デジタル業務全体の修復ワークフローを自動化します。
システムの安定性と信頼性の確保は、多くの企業にとって課題となっています。しかし、システムのダウンタイムが長引き、ビジネスに深刻な影響を与えるケースは少なくありません。ダウンタイムの影響を最小限に抑えるには、インシデント発生時に素早く対応できる体制の整備が求められます。
そこで注目されているのが、MTTRの改善です。MTTRを短縮することでダウンタイムを減少させ、障害からの迅速な復旧を実現できます。サービスの継続性が高まれば、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
本記事では、MTTRの概要や重要性、メリット、インシデント管理を活用した短縮方法、具体的な改善事例について解説します。
目次
MTTR(Mean Time To Repair)は、故障・インシデントの発生から復旧までにかかる「平均修復時間」を示す指標です。企業のIT基盤の保守性やインシデントの重大性、インシデント対応の効率を評価する基準として用いられています。
MTTRが短いほど、問題が起こっても迅速に解決できることを意味します。MTTRを短縮できれば、ビジネスへの影響を抑えられるでしょう。
一方でMTTRが長い場合は、重大なサービスの中断につながる可能性が高く、ビジネスに多大な影響をおよぼすことが考えられます。例えば、MTTRが3時間の場合と24時間の場合では、サービスの中断によるユーザーへの影響や経済的損失に大きな差が生じます。
システムが正常に機能した状態で長期的にサービスを提供し続けるには、MTTRの短縮が必要だといえるでしょう。
MTTRを算出することで、平均的な修復時間を把握できます。計算式は以下のとおりです。
MTTR=復旧にかかった時間の合計÷故障回数 |
例えば、あるシステムが3回故障し、それぞれの復旧に13時間、8時間、9時間かかった場合は、次のように計算します。
(13+8+9)÷3=10時間 |
つまり、このシステムのMTTRは10時間となり、故障発生から平均10時間で復旧できることを意味します。
MTTRを正確に計算し、継続的に監視することで、システムの信頼性や保守性を評価できるでしょう。
MTTRは、インシデントが企業の利益にどれほどの影響を与えるかを予測する、強力な指標になります。
MTTRを把握しなければ、「正常なサービスを提供できるまでどれくらいかかるのか」「復旧手順に改善余地はないか」を予想するのが困難になるでしょう。MTTRを改善できず問題発生時のサービス停止時間が長くなると、経済的損失や顧客満足度の低下を招くことになりかねません。
そこで、MTTRを継続的に追跡すれば、企業は改善が必要な領域の特定や故障傾向の把握ができるようになり、より効果的なメンテナンス戦略を立てられます。インシデント発生時の迅速な対応が可能になれば、ビジネスへの影響を最小限に抑えられるでしょう。
このようなことから、MTTRは多くの企業で重要視されています。
MTTRを意識すると、以下のようなメリットが得られます。
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MTTRの短縮によって製品やサービスの信頼性が向上すれば、顧客満足度が上がり、企業の評判も高まるでしょう。MTTRを意識することは、ビジネス全体の成功に大きく貢献します。
システムや機器の信頼性を正確に評価するには、MTTR以外の障害メトリクスを考慮することも重要です。
障害メトリクスとは、データを定量的に判断して管理するパフォーマンス指標のことで、具体的には、MTBF・MTTF・MTTAなどがあります。
複数の障害メトリクスをそれぞれ適切な場面で使用することで、システムや機器の性能・信頼性を評価しやすくなるでしょう。
MTBF(Mean Time Between Failures)は、「平均故障間隔」を指す指標です。一度問題が発生したシステムで、次のインシデントが起こるまでの平均時間を指し、どれくらいの頻度で障害が起こるかを把握できます。
MTBFの値が大きいほどインシデント発生までの間隔が長く、信頼性の高いシステムであることを意味します。MTBFの改善により、システムの信頼性や安全性の向上につながり、予期せぬサービスの停止を減らせるでしょう。
MTTF(Mean Time To Failure)は、システムが稼働してから修復不可能な故障が発生するまでの「平均故障時間」を示す指標です。製品の耐久性や信頼性を評価する際に役立ちます。
MTTFはおもに、問題が起きた際に修理ができず、交換される部品・機器に対して使用される指標です。値が大きいほど、長期間故障せずに動作することが期待できます。
MTTA(Mean Time To Acknowledge)は、インシデントが生じてから担当者が問題を認識するまでの「平均確認時間」を示す指標です。企業の対応速度を評価する際に、役立ちます。
MTTAが短い場合は、問題への対応が素早く行なわれていると判断できます。例えば、MTTAが15分の場合、平均して障害発生から15分以内に担当者が状況を把握し、対応を開始できていることになります。
具体的な改善策としては、効果的なモニタリングツールの導入や、アラート通知の最適化などが挙げられます。MTTAを改善すれば、障害の早期発見と迅速な対応が可能になり、結果としてMTTRの短縮にもつながるでしょう。
DevOpsにおいて、MTTRは障害から復旧する際の開発チームの効率性を評価するための指標です。DevOpsとは、開発チームと運用チームの連携を強化し、高品質な製品の迅速な提供を目指す手法やしくみを指します。
通常、DevOpsでは直近で発生したインシデントのダウンタイムの平均値として、MTTRを導き出します。この指標にはチームの能力が正しく反映されるため、改善点を洗い出す際に役立つでしょう。
DevOpsでMTTRを重視することは、企業全体のパフォーマンス向上と、より安定したサービス提供を実現する鍵になります。継続的にMTTRの改善を図ると、品質向上につながるでしょう。
MTTRを短縮して企業の信頼性を高めるには、インシデント管理が欠かせません。適切なツールを導入すれば、問題の早期発見、迅速な対応、効率的な解決を実現できるでしょう。
本章では、MTTRの短縮に効果的なインシデント管理について説明します。
MTTRを短縮するには、まずインシデントについて理解することが重要です。問題の内容を正確に把握することで、より適した対応策を立てられます。
インシデント管理ツールでは、インシデントの状況や影響範囲をリアルタイムで共有可能です。
過去のデータを分析してMTTRを計算し、修復にかかる時間を正確に把握すれば、効率的な改善策を立案できるでしょう。修復時間を計測し、障害対応のフローで特に時間がかかっている作業手順を特定できれば、MTTRの改善に活かせます。
また、チームの迅速な対応も促進され、組織全体の対応能力の向上にもつながります。
MTTRの短縮には、アラートを担当者に送信することが効果的です。これによりインシデント発生時の情報伝達が迅速化し、対応時間を大幅に削減できます。
手作業による確認・連絡では時間がかかり、ヒューマンエラーも発生しやすいという問題があります。
しかし、インシデント管理ツールを利用すれば、電話・SMS・メールなど、複数の手段を通じて指定された関係者にアラートを送信できます。例えば、早朝・深夜・休日に発生したトラブルでも、即座に適切な担当者に通知が届きます。担当者は状況を素早く把握できるため、迅速な対応が可能になるでしょう。
インシデント管理ツールを活用したアラートの自動送信により、問題への初動対応時間が大幅に短縮され、結果としてMTTRの改善につながります。
インシデント管理ツールでは、復旧対応の自動化が可能です。問題箇所の特定や診断プロセスを自動化すれば、故障原因の究明時間を大幅に削減でき、MTTRの短縮につながります。
また、決まった復旧手順がある場合は、手順を自動化することでヒューマンエラーを防ぎ、対応時間を短縮できます。頻繁に起こる問題や複雑で時間のかかるプロセスは、ツールによる自動化を検討するとよいでしょう。
さらに、AIを活用したインシデント対応ツールを導入すると、インシデント対応に必要な情報収集にかかる時間を削減できます。AIは過去の対応パターンを学習し、自動で最適な方法を提案してくれるため、より効率良く復旧対応できるようになるでしょう。
インシデント管理ツールを導入して自社対応に切り替えれば、より迅速な対応が可能になります。
外部委託では、担当者との連絡に時間がかかったり、業者の都合で即時対応が難しかったりする問題が発生することもあるでしょう。その点、自社対応では問題が起こった際に担当者へすぐに通知を送り、対応を開始できます。
さらに、自社対応はコスト削減にも有効です。外注の場合は対応人数や時間、対象サーバー数などに応じて費用が発生しますが、インシデント管理ツールを使用すれば、ツールの利用料のみで済みます。
自社でのインシデント対応は、MTTRの短縮とコスト削減の両面で効果を発揮し、ビジネスの競争力強化につながるでしょう。
MTTRの短縮には多くの企業が取り組んでいますが、効果的な解決策を見出すのは容易ではないかもしれません。しかし「PagerDuty」を導入することで、手間をかけずに改善を実現できます。
本章では、実際に「PagerDuty」を導入した2社の事例を通じて、具体的なMTTRの改善成果を紹介します。
株式会社NTTドコモ様は、インシデント対応において複数の課題を抱えていましたが、「PagerDuty」の導入によりMTTRとMTTAを大幅に改善しています。
従来は、複数の監視ツールからのアラートが精査されておらず、対応に取りかかるまでに時間がかかっていました。また、社内のNetwork Operations Center(NOC)向けの手順書を更新する必要があり、その更新を開発委託先に依頼する手間も生じていました。
しかし「PagerDuty」を導入後、複数の監視ツールからのアラートが一元管理され、月間のアラート数が10,000件から約1,000件に減少。その結果、MTTRは数日から数時間へ、MTTAは数時間から3分へと改善されました。
さらに、開発委託先に依頼していた設定作業の約90%を社内で行なえるようになり、NOCに頼らない運用監視体制の構築も進んでいます。
株式会社NTTドコモ様の導入事例について、詳しくは以下をご覧ください。
インシデント対応の変革で手作業を自動化 NOCレスな運用監視も新たな選択肢に
オイシックス・ラ・大地株式会社様は、インシデント対応の外部委託について柔軟な対応ができないという課題を抱えていました。しかし、「PagerDuty」の導入により大幅な改善を実現しています。
「PagerDuty」導入後、MTTAは約30~50%改善され、通知から手順書に沿って判断するまでの時間が15~20分かかっていたところから、10分未満に短縮できています。コスト面でも、サーバー台数ではなくアカウント数に基づく料金体系によって、大幅な削減を実現しました。
また、インシデントの社内対応への移行により、週に複数回あった深夜対応が月1回程度にまで減少し、社内メンバーの負担が大きく軽減されています。
オイシックス・ラ・大地株式会社様の導入事例について、詳しくは以下をご覧ください。
オンプレミスにもPagerDutyを活用!MSPからの移行でMTTA短縮化とコスト削減を実現したオイシックス・ラ・大地
MTTRは故障から復旧までにかかった時間の平均を示す指標であり、短いほど問題を迅速に対応できる体制が整っていると判断できます。MTTRを短縮するには、インシデント管理ツールの導入が効果的です。
「PagerDuty」を導入すれば、アラートの一斉送信や復旧対応の自動化などが実現できます。効果的なインシデント管理とMTTRの短縮を通じてビジネスへの影響を抑え、ビジネスの継続性を確保しましょう。
以下の記事では、MTTRの向上で大切なことについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
MTTR(平均修復時間)だけに依存しない障害対応~PagerDuty Analyticsオススメ活用法~
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